PTA改革は簡単。ドラッカーに方法が載ってるよ。
PTAの厳しい学校は、そのPTAのシステムが、ほんの少し悪いだけで、ちょっと変えただけで、PTAの楽しい学校に生まれ変わる。
PTAの仕事を減らすのに、壮絶なバトルを繰り広げる必要はないし、正しい方法をとれば、ものすごく簡単。
校長先生とおしゃべりをしてみて、PTAの問題を全く理解してもらえなかったことに驚いた。
「その仕事のどこが大変なんだ」と言われた時は、説明が難しくて、途中で話すのをやめた。
ここまで具体的な話をしているのに、理解してもらえなかったことに驚いた。
「わからないんだ。わからないんだ。」と叫びたかった。
校長先生は、PTAで苦しんでいる人を知らないし、そんなことを1度でも考えたこともないので、説明をするのは難しい。
校長先生たちの周りには、PTAが嫌いだと言う人は、私以外、1人もいない。
校長先生や学校の先生の周りには、PTAに感謝している人や感謝をしているふりをしている人しかいないので、校長先生はPTAが嫌いだと言う人を見たことがなかった。
裸の王様と同じ。
保護者→先生→副校長→校長
という順番に情報が上がってくるので、校長先生にまで、悪い情報は上がらない。
保護者の中には、PTAのおかげで、絶望的な孤独を解消くれたと、PTAに感謝をしている人たちがいる。
でも、PTAの仕事量が多すぎて、子供の人数分しか、PTA役員を続けられない。
しかし、PTAの仕事を減らすと、自分たちのような孤独な人を救うことができなくなるので、絶対にPTAの仕事を減らす事は許せないと言う人もいた。
PTA役員のうち、1割がPTAが好きな人だとする。
36人中、3〜4人がPTAが好きな人だとすると、前年度と 2年前のPTA役員が加わり、10人以上になる。
PTAの仕事を減らすには、10人以上の人と戦わなくてはいけない。
PTAの仕事を減らすのに、話し合いをしたり、余計な仕事が増えるかもしれないので、ほとんどの人は、PTAの仕事を減らすことに、消極的になる。
それに、前年度と違うことをしたら、失敗をするかもしれないという不安になる人もいる。
PTAの上の組織に属している人たちの抵抗もある。その人たちの中には、利害関係者がたくさんいて、かなり面倒。
だから、ボトムアップの改革は難しい。
改革をする場合はトップダウン。
校長先生と市役所にPTAの仕事を減らす必要性を理解してもらえれば、簡単にPTAの仕事は減らせる。
学校の最高責任者は誰? 校長先生だよね。
PTAとの会議も、絶対に必要なもの以外、ほとんど、やめてもらった。
図書室の利用についての会議、給食についての会議など、ただ出席するだけで意見交換もないので、やめてもらった。
意見があったら、アンケート用紙に書けばいいので、会議は必要がない。
軽い気持ちで、アンケート用紙に「図書室に漫画を置いてください」と書いたら、本当に漫画を置いてくれた。誰も来ない図書室だったけれど、漫画を置いたら、漫画を読みに来る小学生が増えた。
「この学校の給食がまずいので、食材の管理や味付けをプロにチェックさせてください。給食のおいしい学校のレシピを参考に作ってください。」と書いたら、3日後、隣の学校の栄養士が来て、味付けをチェックしていた。それで急に学校給食が美味しくなり、給食廃棄率が下がった。
「なんで急に給食が美味しくなったんだ」と小学生が騒いだようだけれど、うちの子供たちは口が堅いし、私が提案書を書いたなど、誰にも言わなかったので、私のせいだとは誰も知らない。
ちゃんと、校長先生が理解できるような文章を書いて、提出したら、すぐに改善された。
また、PTAに頼んでいた仕事を、5・6年生や保護者など、他の人たちに頼んだので、ごっそりと自然にPTAの仕事が減った。
この方法だと、苦労せずに、誰も気がつかないうちに、PTAの仕事がいつの間にか、ごっそりと減った。
物事を変える場合、できるだけ抵抗を受けないように、水面下で、みんなが気がつかないうちに変化をさせるのが、良い方法だと、ドラッカーに書いてあった。
2年連続でPTA役員をやってきた人たちは、ごっそりとPTAの仕事が減ったのには驚いたと思うけれど、それ以外の人たちは、あまり気がついていないと思う。
苦労してPTAの仕事を減らしても、余裕ができると、PTAの仕事を増やしたい人が出てくるので、すぐに元に戻る。
元に戻らない工夫も必要になる。
あらかじめ、校長先生には、PTAの仕事を減らすのと同時に、PTAの仕事を増やさない工夫も頼んでおいた。
例えば、PTAの仕事が減って、暇を持て余す人が増えた。暇だったので、PTAで手芸サークルのようなことをしようとした人がいた。
学校施設を利用する場合、校長先生の許可が必要で、PTAでは認められないけれど、サークル活動なら認めることにしてもらったら、PTAの仕事が減り、サークルがたくさん増えた。
それに、校長先生から、保護者に、サークルを作ることを勧めてもらったら、たくさんのサークルが作られた。
夜7時ごろ、学校の体育館を見ると、保護者やお年寄りの人たちが、いろいろなスポーツをするようになった。
学校行事に関わりたい人も大勢いるので、PTA役員ではなく、保護者に仕事を頼むようになったら、学校に来る人が増えた。
ところで、良いことよりも、悪いことの方が、水面下で進められている。
2回目のPTA役員はひどかった。
「今年は絶対にPTA役員をできません。来年やります。」と言って、来年PTA役員をする約束だったのに、誰かが勝手に私をPTA三役にしてしまった。
ある日、突然「鈴木さん(私)は、三役に決まりました。」と電話で言われた。
いつもニコニコして、楽しそうにしているからって、ひどいことをしても怒らない人だと思われたのかもしれない。
犯人を見つけるのは面倒だし、見つけたとしても、一度決まったことを覆すのは難しい。
電話をかけてきた人と、勝手に私を三役にした人は、たぶん違うので、
ただ一言「わかりました。」と言って、引き受けた。
でも、でも、ピンチはチャンス
「ひどいことをされた」と宣伝しまくった。
本当に時間がないので、PTAをサボっても心が痛まない。
私がPTAを休んで、他の人たちに迷惑にならないように、数回メールを送った。
「それって、PTAがやらなくていいんじゃないの?」
「小学生の体験学習にしてみてはいかがでしょうか」
「今年は絶対にPTA役員は無理だと言っているのに、知らないうちに勝手にPTA役員にさせられてしまいました。どうしても、PTAには出れないので、欠席します。すみません。」
どの言葉で反応したのか知らないけれど、PTA三役は副会長以外、12人全員がPTAに出るのをやめてしまった。
他にも、広報委員もPTAに出るのをやめたらしい。
仕事を減らせるとしたら、自分の知っている範囲しか減らせないので、大した量は減らせない。
私のメールを拡大解釈したのか、大勢の人たちが、一気にPTAの仕事を自分たちの判断で減らしてしまった。
PTAはお茶会サークルになった。
めでたし、めでたし。